奥歯と認知症の関連性とは?
東京都日野市、日野駅徒歩1分にある日野新町歯科医院、
院長 飯嶋幸弘です。
認知症と奥歯には関連性があるのでしょうか?
結論としては実は関連があるのです。
人生100年時代と言われる現代では、65歳以上の5人に1人が認知症と言われています。今のところ、特効薬のない認知症ですが、実は奥歯を失わないことにより、その認知症のリスクを下げることができるのです。
国立研究開発法人国立長寿医療センターの研究によりますと、奥歯を失うことで脳の老化が促進されることを発見しました。この研究は国立長寿医療センターの口腔疾患研究部の研究グループによるものです。これまで、認知機能の低下と高齢者における残された歯の数の減少は関係があることが報告されてきましたが、その詳細については不明でした。本研究グループは、老齢のマウスの上あごの両側第一大臼歯を抜歯し、その3か月後にそのマウスの認知行動や視床下部や海馬における変化を調べました。
奥歯とは、主に物を噛み砕いたり、すりつぶしたりする役割があります。奥歯には手前側の小臼歯と奥側の大臼歯があり、人間には小臼歯は上下左右2本ずつの計8本、大臼歯は親知らずと言われる第三大臼歯が含まれますが、人により親知らずは元々なかったり、生えてこなかったりする人もいるため、上下左右各2~3本ずつ計、合計8~12本あります。
歯にはそれぞれに役割があります。1本失われただけでも様々な不具合が生じてしまうのです。なかでも健康寿命に大きく左右する認知や転倒、生活習慣病などを予防するという観点で言えば、奥歯、なかでも大臼歯の有無が非常に重要になってきます。実際、大臼歯が1本無くなっただけで、ものを噛み砕く能力が40%も低下すると言われています。
そのため、ここで言う奥歯とは、大臼歯のことを指しています。
それでは、奥歯と認知症は具体的にどのように関連性があるのでしょうか?
① 奥歯で噛まないと脳への刺激が減少してしまう
奥歯を使って、良く物を噛んで食べると、歯の根の周囲や頬の筋肉が刺激されます。それらの刺激は神経を通じて脳に伝道します。それによって脳の血流量も多くなり、脳細胞が活性化されるのです。逆に奥歯を失い、奥歯を使って噛めなくなると、脳の細胞の刺激が減少し、脳が老化して、認知症のリスクが高まるわけです。
② 奥歯が無いと摂取可能な食べ物が減り、脳の健康に必要な栄養素が不足してしまう
奥歯が無くなると、硬いものが食べられなくなるために、食べられない物が増えます。そのため、食事のバランス良く取る事ができなくなります。その結果、認知症を防ぐ効果のある栄養素のビタミン等が不足してしまいます。
③ 奥歯を失う大きな原因の1つである歯周病が、脳に影響を与えてしまう
現在、歯を失う原因の第1位が歯周病です。特に奥歯は歯周病になりやすく、進行しやすいです。そして、歯周病になると歯ぐきが慢性的な炎症状態になります。
慢性的な炎症によって、生み出される物質の炎症性サイトカインや、歯周病の原因菌を退治するために出された活性酸素や、歯周病の原因菌が出す毒素などが、血管に入り、血流により脳に運ばれ、様々な悪影響をおよぼすことが指摘されています。
☆まとめ
以上の事から、認知症と奥歯は密接に関係していると思われます。
認知症を防止するために、奥歯を大切にしましょう。
そのためには、ご自宅でのケアや定期的に歯科医院でチェックやクリーニングが大切です。
また、やむを得ず奥歯を失った場合は、奥歯の代わりになる物を入れる治療を行う事をお勧めします。
当院では失った歯を入れる様々な治療も行っています。
もし現状で気になっている方がおられましたら、何でもご相談ください。
東京都日野市、日野駅徒歩1分にある日野新町歯科医院 院長 飯嶋 幸弘